貴方の見ているドメインは
このページについて
「脚気の方は?」
と、大声で訊いた。
「――?」
「ですが、何とも手のつけやうがない」
男は眼を閉ぢた。何も答へなかつた。
「さうかよ。おれは又、河原町を通るんだとばつかり思つた」
「どうぞよろしくお願ひします」
膿盆だの鋏、脱脂綿の袋などがまだ散らかつたまゝになつているのを片づけはじめた。
その通り、近くに似たやうな河はいくつもあつたが、それは鮒がたくさんとれると思ふと鮎がさつぱり駄目だし、うす濁りがしているし、ずつと先の木ノ川は河幅こそ広く水もたつぷりしているがあんまり大きすぎてよほど上流まで行かないと鮎をとる手立てがない、してみるとやはり、この吉賀川は彼等の口にするごとく「名うて」の川にちがひなかつた。
「いや、なに」
突然だつたので、房一は思はずその醜い顔に紅味をうかべながら、軽く頭を下げた。その拍子にごく自然に眼玉と真向ひになる位置を外した房一は、さつきから気を引かれていた馬の方をちよいちよい眺めやつた。
だが、やつぱり戻らないで、しきりとこつちを見ながら行く。
- 【夏休み旅館情報】
- NLPラーニング&コミュニケーション